傷病手当金の申請方法と必要書類|初回申請から受給までの流れを完全解説

病気やケガで働けなくなったとき、傷病手当金は生活を支える大切な制度です。申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、この記事で一つずつ解説します。

傷病手当金の申請は「書類4枚を揃えて出すだけ」ですが、記入ミスや手順の誤りで1ヶ月以上も支給が遅れるケースが少なくありません。

この記事では、協会けんぽの傷病手当金について、必要書類4枚の書き方・申請の流れ・よくあるミスと対策を、初回申請の人にもわかるように解説します。退職後の申請方法や、月収別の支給額シミュレーション、申請から振込までの実際のスケジュール例も掲載しています。

目次

傷病手当金の申請に必要な4枚の書類

傷病手当金の申請書は「健康保険 傷病手当金 支給申請書」という1セットの書類で、全4ページ構成です。協会けんぽの公式サイトからPDFでダウンロードできます。

ページ 名称 記入者 主な記入内容
1枚目 被保険者記入用① あなた 氏名・住所・振込先口座
2枚目 被保険者記入用② あなた 傷病名・休んだ期間・仕事の内容・年金受給の有無
3枚目 事業主記入用 会社 出勤・欠勤状況、給与支払いの有無・金額
4枚目 療養担当者記入用 医師 傷病名・労務不能と認めた期間・症状の経過

自分で書くのは1・2枚目だけ。3枚目は会社に、4枚目は主治医に依頼します。以下では、各ページの具体的な記入ポイントとよくある記入ミスを詳しく解説します。

1枚目(被保険者記入用①)の書き方

基本情報と振込先を記入するページです。記入項目は多くありませんが、口座情報のミスが意外と多発しています。

  • 被保険者証の記号・番号:保険証に記載。不明な場合はマイナンバーでも可
  • 氏名・生年月日・住所・電話番号:保険証と一致させる
  • 振込先口座:本人名義の口座を記入。ゆうちょ銀行の場合は記号・番号ではなく、店名・口座番号に変換して書く
1枚目の記入でよくある間違い
  • 旧姓のまま記入:結婚・離婚で氏名が変わった場合、保険証の名義変更手続きを先に行う必要があります。名義変更前に申請すると差し戻しになります
  • ゆうちょ銀行の記号・番号をそのまま記入:ゆうちょ銀行は通帳の「記号-番号」を「店名-口座番号」に変換する必要があります。ゆうちょ銀行のサイトで変換できます
  • 家族名義の口座を記入:傷病手当金は本人名義の口座にしか振り込まれません。配偶者や親の口座は不可です

2枚目(被保険者記入用②)の書き方

申請の核心部分です。ここの記入ミスが差し戻しの最大原因なので、慎重に書きましょう。

  • 傷病名:医師の診断書と同じ病名を正確に書く(4枚目の記載と一致させる)
  • 療養のため休んだ期間:4枚目で医師が記入する「労務不能と認めた期間」と必ず一致させる。ズレていると差し戻しになる
  • 仕事の内容:「経理事務」「営業職」など、休業前の具体的な業務内容を書く
  • 障害厚生年金・老齢年金の受給有無:該当する場合は「はい」にチェック。傷病手当金との調整が行われる
2枚目の記入ポイント詳細

「療養のため休んだ期間」の書き方が最重要です。この欄には「開始日」と「終了日」を記入しますが、以下の3点を必ず確認してください。

  1. 開始日:初回申請の場合、待期期間の初日(連続3日間の休業の1日目)から記入。2回目以降は前回申請の翌日から
  2. 終了日:医師が4枚目に記入する「労務不能と認めた期間」の終了日と完全一致させる。事前に医師に確認してから記入するのがベスト
  3. 申請期間の単位:通常は1ヶ月単位で申請。給与の締め日に合わせると、3枚目の事業主証明がスムーズに取得できる

「仕事の内容」欄も実は重要です。「会社員」のような曖昧な記載では、労務不能の判断基準が不明確になります。「デスクワーク中心の経理事務」「1日8時間の立ち仕事を伴う接客販売」など、業務の身体的負荷がわかる書き方が理想的です。

3枚目(事業主記入用)のポイント

会社の人事・総務部門に依頼します。自分で記入する必要はありませんが、以下を把握しておくとスムーズです。

  • 出勤日と欠勤日を日付ごとに証明するため、給与締め日を過ぎてからでないと作成できない
  • 申請期間中に給与が支払われた場合はその金額も記載される(傷病手当金との調整のため)
  • 会社の担当者が不慣れだと時間がかかるので、早めに依頼するのが鉄則

会社に依頼する際のコツとして、申請書の3枚目だけを渡すのではなく、記入例(協会けんぽのサイトにPDFあり)も一緒に渡すと対応が早くなります。特に中小企業では傷病手当金の申請に不慣れな担当者も多いため、「どこに何を書けばいいか」がわかる資料があると助かります。

また、会社が記入する「勤務状況」欄には、申請期間中の各日について「出勤」「公休」「有給」「欠勤」のいずれかが記載されます。有給休暇を使った日も「出勤」ではなく「有給」として記載されるため、傷病手当金の支給対象にはなりません(有給は給与が支払われるため)。この点は事前に理解しておきましょう。

4枚目(療養担当者記入用)のポイント

主治医に記入してもらう書類です。この書類の内容が審査結果に直結するため、最も重要なページとも言えます。

  • 診察時に依頼するのがベスト。「傷病手当金の申請書の4枚目を書いてほしい」と伝えればOK
  • 文書料として300円程度(保険適用内)がかかる
  • 記入に1〜2週間かかることもあるので、余裕をもって依頼する
  • 労務不能と認めた期間」の記載が最重要。2枚目の「休んだ期間」と一致させる

医師への依頼時に注意したいのが、「労務不能と認めた期間」は過去の期間しか記入できないという点です。つまり、3月分の傷病手当金を申請する場合、3月31日以降の診察で依頼する必要があります。「3月中に来月の分も書いてほしい」というのは原則不可です。

また、医師によっては「この期間は通院していないので書けない」と言われるケースがあります。申請期間中に少なくとも1回は通院していることが望ましいです。月1回の通院を維持していれば、この問題は発生しません。

申請前チェックリスト【書類提出前に必ず確認】

書類を揃えたら、郵送・提出する前に以下のチェックリストで最終確認しましょう。1つでもミスがあると差し戻しになり、2〜4週間のロスが発生します。

チェック項目 確認のポイント
4枚すべて揃っているか 退職後の申請は3枚目(事業主記入用)が不要で3枚でOK
2枚目の「休んだ期間」と4枚目の「労務不能期間」は一致しているか 1日でもズレていると差し戻し。日付を並べて目視確認する
2枚目の「傷病名」と4枚目の「傷病名」は一致しているか 漢字の表記も完全一致が必要。「鬱病」と「うつ病」の混在は不可
1枚目の口座情報は正しいか 本人名義か確認。ゆうちょは店名・口座番号に変換済みか
3枚目の申請期間と給与締め期間は合っているか 事業主の勤務証明の期間が申請期間をカバーしているか
初回申請の場合、待期期間(連続3日間)は成立しているか 連続3日の休業(有給・公休含む)がカレンダー上で確認できるか
申請書に押印は不要であることを確認 2020年12月以降、協会けんぽの申請書は押印不要に変更済み

傷病手当金の申請の流れ【6ステップ】

傷病手当金は事後申請が原則です。「休んだ後に」申請書を提出する流れになります。各ステップの所要日数の目安も確認しておきましょう。

STEP やること 所要日数の目安 ポイント
1 申請書を入手 即日 協会けんぽ公式サイトからPDFダウンロード。2026年1月〜は電子申請も可能
2 待期期間(3日間)を完成させる 3日間 連続3日間の休業が必須。途中出勤すると待期が振り出しに戻る
3 医師に4枚目を依頼 1〜2週間 診察時に依頼。大きな病院ほど時間がかかる傾向
4 自分で1・2枚目を記入 即日 「休んだ期間」は医師の「労務不能期間」と一致させる
5 会社に3枚目を依頼 1〜2週間 給与締め日を過ぎてから。早めに声をかけておく
6 4枚揃えて協会けんぽに提出 郵送2〜3日 郵送 or 電子申請(2026年1月〜)。初回は審査に1〜2ヶ月

※STEP3とSTEP5は並行して進められます。医師への依頼と同時に会社にも声をかけておくと、トータルの所要期間を短縮できます。

待期期間の注意点

待期期間の3日間は連続している必要があります。「月曜休み→火曜出勤→水曜休み」では成立しません。土日祝日・有給休暇も含めてカウントできるので、金曜に休めば「金・土・日」の3日間で待期完成です。4日目以降が支給対象になります。

注意すべきは、待期期間の3日間には傷病手当金は支給されないという点です。この3日間は「有給休暇を充てる」か「欠勤(無給)にする」かを選ぶことになります。有給が残っている場合は有給を使うのが経済的です。なお、待期期間は1つの傷病について1回だけ成立させればOKで、2回目以降の申請では待期は不要です。

初回申請と2回目以降の違い

傷病手当金は1ヶ月ごとに申請するのが一般的です。2回目以降はスムーズになりますが、いくつか違いがあります。

項目 初回申請 2回目以降
書類 同じ4枚 同じ4枚(新しい期間分を記入)
待期期間 必要(連続3日間) 不要
審査期間 1〜2ヶ月 2〜3週間
医師の記入 必要 毎回必要
申請期間の開始日 待期完成の翌日 前回申請期間の翌日

2回目以降は前回のデータが協会けんぽ側にあるため、審査が大幅に短縮されます。毎月コツコツ申請するのが最も効率的です。「復帰してからまとめて申請しよう」とすると、数ヶ月分の空白期間ができてしまい、入金が大幅に遅れます。

なお、2022年1月の法改正により、支給期間が「通算1年6ヶ月」に変更されました。従来は「支給開始日から暦で1年6ヶ月」でしたが、現在は途中で復帰した期間を除外して通算できます。例えば、6ヶ月間受給した後に3ヶ月復帰し、再び休業した場合、残りの12ヶ月間まだ受給可能です。この変更により、復帰と休業を繰り返す方にとって大幅に有利になりました。

退職後の傷病手当金申請【見落としがちな3つの条件】

退職後も傷病手当金を受給し続けることは可能ですが、3つの条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると受給資格を失います。

  1. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  2. 退職時に傷病手当金を受給中であること(または受給条件を満たしていること)
  3. 退職日に出勤していないこと
最も多い失敗:退職日に出勤してしまう

「最終日だけ挨拶に行こう」と退職日に出勤すると、退職後の傷病手当金を一切受け取れなくなります。これは取り返しがつきません。退職日は必ず欠勤(有給消化を含む)にしてください。たとえ30分だけの出勤であっても「出勤」と扱われ、資格を失います。

退職後の申請で変わるポイント

  • 3枚目(事業主記入用)が不要になる — 退職後は会社に依頼する必要なし
  • 自分で直接、協会けんぽの支部に郵送(または電子申請)で提出
  • 4枚目(医師の記入)は引き続き毎回必要
  • 国民健康保険に切り替えても、退職前の健康保険(協会けんぽ)から支給される

退職後の健康保険:任意継続 vs 国民健康保険

退職後は「任意継続被保険者になる」か「国民健康保険に切り替える」かを選ぶ必要があります。傷病手当金の受給にはどちらを選んでも影響ありません(退職前の協会けんぽから支給されるため)が、保険料に大きな差が出ます。

項目 任意継続 国民健康保険
加入期間 最長2年間 制限なし
保険料 退職時の標準報酬月額に基づく
(上限あり:30万円基準)
会社負担分も自己負担で約2倍
前年の所得に基づく
市区町村で異なる
減免制度あり
手続き期限 退職日の翌日から20日以内 退職日の翌日から14日以内
傷病手当金への影響 なし なし
扶養家族 扶養に入れられる 各自が加入(人数分の保険料)

※傷病で退職した場合、国民健康保険の保険料が減免される場合があります。お住まいの市区町村窓口に相談してください。

判断のポイントは、扶養家族がいる場合は任意継続が有利になりやすく、単身で前年所得が低い場合は国民健康保険の減免制度を利用した方が安くなる可能性があります。退職前に両方の保険料を試算しておきましょう。

傷病手当金の支給を早める5つのコツ

初回申請は1〜2ヶ月かかりますが、以下のコツで少しでも早く支給を受けることができます。それぞれを深掘りして解説します。

コツ①:1ヶ月ごとにこまめに申請する

最も重要なコツです。「休業が終わってからまとめて申請しよう」とする方が多いですが、これは大きな間違いです。3ヶ月休業して一括申請すると、最初の1ヶ月分の入金も3ヶ月後以降になります。毎月申請すれば、初回分は2ヶ月後には入金され、その後は毎月安定して入金されます。

コツ②:医師への依頼は診察のたびに行う

4枚目の作成は医師の業務負荷が高く、大きな病院では記入に2週間以上かかることも珍しくありません。「次の診察で頼もう」と先延ばしにすると、申請が1ヶ月遅れます。毎月の診察時に、前月分の4枚目を依頼する習慣をつけましょう。診察日の前日に4枚目のコピーを用意しておくとスムーズです。

コツ③:会社には早めに声をかける

3枚目(事業主記入用)は給与締め日を過ぎないと作成できません。しかし、締め日の前に「来月○日以降に3枚目の記入をお願いします」と事前連絡しておくと、対応が早くなります。人事担当者も事前に準備できるため、依頼後1週間以内に返却されるケースが増えます。

コツ④:2枚目の「休んだ期間」は医師に確認してから書く

差し戻しの最多原因が「2枚目の休んだ期間と4枚目の労務不能期間のズレ」です。4枚目が返却されてから2枚目を記入するのが最も確実な方法です。並行して作成する場合は、医師に「何月何日から何月何日まで労務不能と書いていただけますか?」と事前確認してから2枚目に記入しましょう。

コツ⑤:電子申請を活用する(2026年1月〜)

マイナンバーカードがあればスマホ・PCから申請可能です。電子申請のメリットは、入力ガイドで記入ミスが減ること、郵送の2〜3日が不要になること、そして審査状況をオンラインで確認できることです。ただし、4枚目(医師記入)は別途必要で、現時点では紙で提出する必要があります。

【独自計算】月収別・傷病手当金の支給額シミュレーション

「自分はいくらもらえるの?」が最大の関心事でしょう。傷病手当金の計算式は以下の通りです。

計算式

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

ざっくり言えば「月収の約3分の2」が支給額です。以下に月収別のシミュレーションを作成しました。

月収(額面) 標準報酬月額 日額 月額(30日分) 年額(最大18ヶ月)
20万円 20万円 4,447円 約133,400円 約2,401,200円
25万円 26万円 5,780円 約173,400円 約3,121,200円
30万円 30万円 6,667円 約200,000円 約3,600,000円
35万円 36万円 8,000円 約240,000円 約4,320,000円
40万円 41万円 9,113円 約273,400円 約4,921,200円

※標準報酬月額は報酬月額の等級区分に基づきます。実際の金額は等級により前後します。
※傷病手当金は非課税(所得税・住民税がかかりません)。ただし在職中は社会保険料の支払いが発生します。

月収30万円の場合、月額約20万円×最大18ヶ月=最大約360万円を受給できる計算です。非課税なので、手取りベースでは思ったより減らない印象を持つ方が多いです。

なお、加入期間が12ヶ月未満の場合は、「自分の標準報酬月額の平均」と「全加入者の標準報酬月額の平均(30万円)」の低い方で計算されます。

手取りで比較するとこうなる

月収30万円の方の場合を手取りベースで比較してみましょう。

  • 通常勤務時の手取り:約24万円(社会保険料・税金控除後)
  • 傷病手当金の支給額:約20万円(非課税のためそのまま手取り)
  • 在職中に傷病手当金を受給:約20万円 − 社会保険料約4.5万円 = 実質約15.5万円
  • 退職後に傷病手当金を受給:約20万円 − 国保・年金約3万円(減免後)= 実質約17万円

在職中は給与から天引きされていた社会保険料の支払いが続くため、退職後の方が手取りが多くなるケースもあります。ただし、退職後は将来の厚生年金額が減る点に注意が必要です。

【独自作成】申請から振込までの実際のスケジュール例

「結局、いつお金が入るの?」という疑問に答えるため、月初に休業を開始した場合と月半ばに開始した場合の2パターンのスケジュール例を作成しました。

パターンA:月初(4月1日)から休業を開始した場合

時期 出来事
4月1日〜3日 待期期間(連続3日間の休業)
4月4日〜30日 傷病手当金の支給対象期間(27日間)
5月上旬 診察時に医師に4枚目を依頼 + 会社に3枚目を依頼(4月分の給与締め後)
5月中旬 4枚目・3枚目が返却される。1・2枚目を記入し、4枚揃えて郵送
5月下旬 協会けんぽに届き、審査開始
6月下旬〜7月 初回振込(申請書提出から約1〜2ヶ月後)

※不備がない場合のスケジュールです。差し戻しがあるとさらに2〜4週間遅れます。

パターンB:月半ば(4月15日)から休業を開始した場合

時期 出来事
4月15日〜17日 待期期間(連続3日間の休業)
4月18日〜30日 4月分の支給対象期間(13日間)※半月分しかないが早めに申請
5月上旬 医師に4枚目を依頼(4月分)+ 会社に3枚目を依頼
5月中旬〜下旬 書類が揃い次第、4月分(半月分)を先に申請
7月頃 初回振込(半月分でも先に申請しておくことで、5月分の審査は2回目扱いで早くなる)

ポイント:月半ばから休業した場合でも、その月の残り分をまず申請するのが得策です。金額は少なくなりますが、初回審査を早く済ませることで、翌月分以降が「2回目以降」の扱いになり、審査期間が2〜3週間に短縮されます。

よくあるミスと不支給になるケース

申請が遅れる原因TOP5

順位 原因 対策
1 申請期間と医師の労務不能期間のズレ 医師に確認してから2枚目を記入する
2 待期期間(3日間)が連続していない 金・土・日など週末を利用して確実に連続させる
3 事業主証明の取得に時間がかかる 給与締め日の直後に依頼する
4 医師への依頼が遅れる 毎回の診察時に依頼する習慣をつける
5 「復帰してからまとめて申請しよう」と先延ばし 事後申請が原則。1ヶ月ごとに申請する

不支給になる7つのケース

  1. 業務上の傷病(労災保険の対象)— 健康保険の傷病手当金は対象外
  2. 待期期間が連続3日に達していない
  3. 給与が全額支給されている(給与額が傷病手当金の日額以上の場合)
  4. 障害厚生年金・老齢年金の額が傷病手当金以上の場合
  5. 出産手当金の受給期間と重複している場合
  6. 時効(2年)を過ぎた(労務不能であった日ごとにその翌日から2年で消滅)
  7. 退職日に出勤した(資格喪失後の継続給付が受けられなくなる)

特に注意すべきは⑦の「退職日に出勤」です。前述の通り、これだけで退職後の傷病手当金が全額消えます。

不支給の決定に納得できない場合

傷病手当金が不支給と決定された場合、以下の手順で不服を申し立てることができます。

  1. 審査請求:不支給の決定を知った日から3ヶ月以内に、各地方厚生局の社会保険審査官に審査請求を行う
  2. 再審査請求:審査請求の結果にも納得できない場合、決定書の送付日の翌日から2ヶ月以内に社会保険審査会に再審査請求を行う
  3. 行政訴訟:再審査請求でも認められない場合、裁判所に取消訴訟を提起する

審査請求は書面で行い、費用はかかりません。不支給の理由が「書類の不備」であれば、修正して再申請する方が早い場合もあります。不支給通知に記載された理由を確認し、修正可能かどうかを判断しましょう。

【2026年1月〜】電子申請が利用可能に

2026年1月13日より、協会けんぽで傷病手当金の電子申請サービスが開始されました。

  • マイナンバーカード+マイナポータルアプリがあればスマホ・PCから申請可能
  • 入力ガイドが表示されるため記入ミスが減る
  • 審査状況をオンラインで確認できる
  • ただし4枚目(医師記入)は別途必要。医師の電子署名対応は今後の課題

郵送での提出も引き続き可能ですが、今後は電子申請がスタンダードになっていくでしょう。電子申請では入力ミスがリアルタイムでチェックされるため、差し戻し率が大幅に下がることが期待されています。特に、期間の不整合や必須項目の未入力などは、送信前に自動でエラー表示されます。

電子申請の具体的な手順
  1. マイナポータルにログイン:マイナンバーカードをスマホにかざして認証
  2. 「ぴったりサービス」から傷病手当金を検索:お住まいの地域を選択し、「傷病手当金」で検索
  3. 申請フォームに入力:画面のガイドに従って1枚目・2枚目相当の情報を入力。被保険者証の記号番号はマイナンバー連携で自動入力される場合あり
  4. 4枚目(医師記入用)を添付:スマホで撮影した画像またはスキャンしたPDFをアップロード
  5. 3枚目(事業主記入用)を添付:会社から受け取った書類を同様にアップロード
  6. 送信:入力内容に不備がなければ送信完了。受付番号が発行されるので控えておく

電子申請後は、マイナポータル上で審査状況を確認できます。「受付済」「審査中」「支給決定」などのステータスが表示され、従来の紙申請のように「今どの段階か分からない」という不安が解消されます。

傷病手当金の申請中にお金が足りないとき

初回申請は支給まで1〜2ヶ月かかります。特に、家賃・光熱費・食費など毎月の固定費は待ってくれません。貯蓄が少ない場合は深刻な問題になりますが、公的な支援制度やつなぎ融資の選択肢があります。以下の方法で傷病手当金の入金までの期間を乗り切ることを検討してください。

  • 緊急小口資金(社会福祉協議会):最大10万円を無利子で借りられる。申請から1週間程度で入金
  • 総合支援資金(社会福祉協議会):単身で月15万円以内、2人以上世帯で月20万円以内を最長3ヶ月借りられる
  • 住居確保給付金:家賃相当額(上限あり)を原則3ヶ月支給。離職後2年以内が条件
  • カードローンの無利息期間を活用:プロミスなら初回借入日の翌日から30日間無利息。傷病手当金の入金後に返済

関連記事:傷病手当金が遅い原因と対処法お金がないときの対処法まとめ

傷病手当金と他の公的制度の関係

傷病手当金の受給中・受給後に利用できる公的制度は複数あります。制度の切り替えタイミングを間違えると、給付の空白期間が生じるため、あらかじめ全体像を把握しておくことが重要です。

制度 傷病手当金との同時受給 ポイント
失業保険(基本手当) 不可 「働けない」と「求職中」は矛盾するため併給不可。受給期間の延長手続きを忘れずに
障害年金 条件付きで可 障害厚生年金の日額が傷病手当金の日額より低い場合、差額が支給される
労災保険(休業補償給付) 不可 業務上の傷病は労災保険が優先。通勤災害も同様
出産手当金 不可 出産手当金が優先。傷病手当金の方が高い場合は差額が支給
自立支援医療制度 併用可 精神疾患の通院医療費を1割負担に軽減。傷病手当金の受給に影響なし

特に重要なのは失業保険の受給期間延長手続きです。通常、失業保険は退職日の翌日から1年以内に受給しなければ権利が消滅します。しかし、傷病で30日以上働けない場合は、ハローワークに「受給期間延長申請」を行うことで、最大4年間まで延長できます。傷病手当金の受給が終了し、就労可能になった時点で失業保険の手続きを開始できます。

まとめ:傷病手当金の申請で最も大切な3つのこと

  1. 医師の「労務不能期間」と自分の「休んだ期間」を一致させる(差し戻し防止)
  2. 1ヶ月ごとにこまめに申請する(入金を早める)
  3. 退職日には絶対に出勤しない(退職後の受給資格を守る)

傷病手当金は最大18ヶ月間(通算)、月収の約2/3を非課税で受け取れる強力な制度です。書類4枚を正しく揃えて提出すれば、あとは協会けんぽが処理してくれます。焦らず、一つずつ準備していきましょう。

申請の進め方に不安がある場合は、協会けんぽの各都道府県支部に電話で相談できます(平日8:30〜17:15)。窓口の職員が記入方法をアドバイスしてくれるので、遠慮なく活用しましょう。また、お住まいの市区町村の社会福祉協議会でも、傷病による休業中の生活支援について相談を受け付けています。一人で抱え込まず、利用できる制度は積極的に活用してください。

※この記事の情報は2026年3月時点のものです。制度の詳細は全国健康保険協会(協会けんぽ)の公式サイトでご確認ください。当サイトのコンテンツポリシーおよび制作方針に基づき、正確性を重視した記事制作を行っています。

傷病手当金の申請に関するよくある質問

傷病手当金の申請書はどこで入手できますか?

協会けんぽの公式サイトからPDFをダウンロードできます。また、協会けんぽの各都道府県支部の窓口でも入手可能です。2026年1月からは、マイナンバーカードを使った電子申請サービスも始まっています。

医師への書類記入の依頼にお金はかかりますか?

保険適用内の文書料として300円程度かかります。診断書(数千円)に比べると安価です。診察のついでに依頼するのがスムーズです。

傷病手当金はいつ振り込まれますか?

初回申請は審査に時間がかかるため、申請書提出から約1〜2ヶ月で振り込まれます。2回目以降は前回のデータがあるため、約2〜3週間に短縮されます。書類に不備があると差し戻しでさらに2〜4週間遅れます。

パート・アルバイトでも傷病手当金は申請できますか?

健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入していれば、雇用形態に関係なく申請できます。ただし、国民健康保険には傷病手当金の制度がないため、個人事業主やフリーランスの方は対象外です。

うつ病でも傷病手当金はもらえますか?

はい、もらえます。うつ病・適応障害・パニック障害など精神疾患も対象です。医師が「労務不能」と判断し、4枚目の書類に記入してくれれば申請可能です。実際に傷病手当金の受給者の中で精神疾患は最も多い疾病区分の一つです。

傷病手当金と失業保険(雇用保険)は同時にもらえますか?

同時には受給できません。傷病手当金は「働けない状態」に対する給付、失業保険は「働ける状態で求職中」に対する給付であり、条件が矛盾するためです。傷病手当金の受給中は失業保険の受給期間を延長しておき、回復後に切り替えるのが一般的です。

傷病手当金に税金はかかりますか?

傷病手当金は非課税です。所得税も住民税もかかりません。ただし、在職中は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いは引き続き発生します。退職後は国民健康保険料や国民年金保険料の支払いが必要になりますが、減免制度もあるので市区町村に相談してください。

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この記事を書いた人

カードローン・消費者金融の情報をデータに基づいて発信する金融メディア「いつのマニー」の編集部です。各社の公式IR資料から算出した成約率データや独自の利息コスト計算など、独自の評価基準で利用者に最適な借入先選びをサポートします。

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