「子どもにお金の大切さを教えたい」「我が子が将来お金で苦労しないよう、金銭感覚や貯蓄・投資の知識を身につけさせたい」と考えている親御さんは多いでしょう。
とはいえ、親御さん自身が金融教育を受けた経験がないと「何歳から何をどう教えていいかわからない」と感じてしまうものです。
今回はお子さんがいる方500人にアンケートを実施。
「お子さんにお金の大切さについて話しているか」や「お金の大切さの教え方」について調査しました。
調査概要
調査対象 | お子さんがいる方 |
調査期間 | 2023年2月16日~22日 |
調査機関 | 自社調査 |
調査方法 | インターネットによる任意回答 |
有効回答数 | 500人(女性345人/男性155人) |
回答者の年代 | 20代 6.2%/30代 47.4%/40代 35.4%/50代 8.2%/60代以上 1.2%/不明 1.6% |
お子さんにお金の大切さについて話している親御さんは81.2%
お子さんがいる方500人に「お子さんにお金の大切さについて話すことがあるか」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
「ある」と答えた人が81.2%で多数派です。
お金の大切さについて、家庭内で教えている親御さんが多いとわかります。
お金は生活に欠かせないものなので、教えておきたいと考える方が多いのではないでしょうか。
具体的な回答をもとに、「お子さんにお金の大切さについて話す理由」「話さない理由」を紹介します。
お子さんにお金の大切さについて話す理由
- お金は無限に出てくるものではなく、「誰かが汗水垂らして頑張って得た対価だ」とわかってほしい(27歳 女性)
- 子どもが簡単に「これ買って」と言うことが増えたため(33歳 女性)
- 大人になるときに、正しい金銭感覚を身につけていてほしいから(34歳 女性)
- 私自身はお金について教えられた経験があまりなく、「子どもの頃に知っていたらな」と思うことが多かったため(42歳 男性)
- お金に困った経験があるため(50歳 男性)
「大人になったときにお金で苦労してほしくない」など、将来を見据えてお金の話をしている親御さんが多い印象です。
お金で困った経験がある人なら、なおさら「子どもにはお金について教えておきたい」と思うでしょう。
金融教育は学校でも行われていますが、「学校教育だけでは不十分だから家庭で教えなくては」と感じている人もいるようです。
また「おもちゃやお菓子をねだることが多いため」など、今の子どもの態度に困って、お金について話している人もいました。
お子さんにお金の大切さについて話さない理由
- 話すにはまだ少し早い年齢だと思うから(25歳 女性)
- 子どもの頃は変に遠慮せず好きなものを好きなだけ買ってほしいし、好きなことをやらせてあげたいから(30歳 女性)
- あまりお金という下世話なことを話したくない(38歳 女性)
- 話さなくても自分で自然に学んでいけると思っているから。「お金の貸し借りはしないように」とは注意しています(46歳 男性)
- 何かの機会に話したいとは常々考えていたが、きっかけがつかめなかった(50歳 男性)
「子どもがまだ小さいから」という意見が多数寄せられました。
「今はまだ話していないものの、タイミングを見て話したい」など、「家庭での金融教育」の必要性を感じている人は多いようです。
一方で「親の生活態度を見たりアルバイトを始めたりすれば、お金の大切さは自然に学べる」という声も。
積極的に教えるのではなく、普段の暮らしからお金について学べるよう見守るというスタンスもあるとわかりました。
お金の大切さについて話したのはお子さんが5.6歳のとき
お子さんにお金の大切さについて話していると回答した406人に「話しはじめた時期」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
平均は5.6歳で、保育園・幼稚園児くらいでお金について話しているご家庭が多いとわかります。
保育園・幼稚園くらいからお子さんの会話力が発達し、お金についても理解できるようになるからでしょう。
また保育園・幼稚園に入園するくらいから、お子さんが直接「お年玉」「誕生日プレゼントとしてのお金」などを受け取る機会が増えてくるため、「大切に使わないといけないよ」と教える方も多いのではないでしょうか。
「小学校入学をきっかけに」「中学校に入るときに」など、進学をきっかけに話をするご家庭も多いようです。
お子さんへのお金の大切さの教え方1位は「お小遣い・お年玉を管理させる」
最後に、お子さんにお金の大切さについて話していると回答した406人に「お金の大切さの教え方」を聞きました。
1位になったのは「お小遣い・お年玉を管理させる(168人)」です。
2位「折に触れて話す(131人)」、3位「買い物させる(79人)」、4位「お手伝いに報酬を出す(63人)」と続きます。
「話す」「口頭で説明する」というご家庭もありましたが、多かったのは「お小遣いの管理」「買い物」「貯金・投資」などを実際に体験させる方法でした。
また「お手伝いに報酬を出す」など、働いてお金を得る経験を家庭内でさせている人も多いとわかります。
「体験から学ぶことが多い」と考えている人が多いのでしょう。
では具体的な回答を紹介します。
1位 お小遣い・お年玉を管理させる
- ガチャガチャや食玩などはお小遣いから買うようにして、管理させている(28歳 女性)
- 欲しいものは自分でお小遣いを貯めて買う(36歳 男性)
- お小遣いをあげて、小遣い帳をつけさせている(41歳 女性)
1位は「お小遣い・お年玉を管理させる」でした。
お金を自分で管理すると、「無駄遣いすると本当に欲しいものが買えなくなる」などの体験を通してお金の大切さを学べます。
お小遣い帳をつけることで、「本当に欲しいものを買ったのか」といったチェックもできるでしょう。
お小遣い管理の経験をさせるため、「お年玉は全額貯金せず、少し子どもの手元に残す」という人も多いようです。
2位 折に触れて話す
- お年玉をもらったら「大切なものだ」と伝える。また何でも買い与えずに「家にあるものをまず大切に使いなさい」と伝える(29歳 女性)
- 「いつも欲しいものを買っていたら、お金がなくなっちゃうよ」と話しています(32歳 女性)
- たまに1対1で話す機会があるので、「お金の大切さ」「日本経済の現況」について話しています(45歳 男性)
2位は「折に触れて話す」でした。
「子どもがおもちゃやお菓子をねだったとき」「お年玉をもらったとき」などの機会に、お金の大切さを伝えているというご家庭も多いようです。
話す内容は「お金は親が働いて得たものであること」「お金は使ったらなくなること」「お金をもらったら感謝すること」など。
「おもちゃを買うのにかかるお金で、他に何ができるか」を説明している人もいました。
3位 買い物させる
- 買い物の際、支払いを子どもにさせています(28歳 男性)
- 駄菓子屋などで、決められた金額内で買い物する練習をさせる(39歳 女性)
- 買い物に同行させる(40歳 女性)
3位は「買い物させる」でした。
実際に買い物してみると、「お金の計算」「欲しいものを手に入れるためにお金がかかること」を体験できます。
小さい子どもなら買い物に同行させて支払いをさせるだけでも、お金に興味をもってくれそうですね。
小学生くらいになれば「駄菓子屋さんなどで、子どもだけで買い物させる」という方法もあります。
4位 お手伝いに報酬を出す
- 1つお手伝いをしたら10円のお小遣いを渡すなどして、「労働したら対価がもらえる」と教えている(24歳 女性)
- お手伝いなどで小銭を渡し、「貯めること」「使うこと」「我慢すること」を教えている(39歳 女性)
- お手伝いリストを作成し、お手伝いした項目にそってお手伝い賃を渡す。お金を稼ぐ大変さや有難さを実感してもらっています(44歳 男性)
4位は「お手伝いに報酬を出す」。
無条件にお小遣いを渡すのではなく、実施したお手伝いに応じてお金を渡しているご家庭も。
働いてお金をもらうことの疑似体験が家庭内でできますね。
「掃除のお手伝いで汚れが残っていたら額を減らす」「キレイになっていたらボーナスを渡す」など、成果に応じて渡す金額を変えている人もいました。
5位 ニュースを解説する
- 最近だとネットやテレビで物価上昇のニュースを見たときに、お金の計算をして、どれぐらい大変なことかを理解し合って確認しています(35歳 男性)
- 経済ニュースを見ながら話しかけ、意見をもらう(49歳 女性)
- 経済のニュースを一緒に見て、意見を言い合う。新聞も一緒に読みます(57歳 男性)
「ニュースを解説する」が5位。
お金についてのニュースを見て、意見を言い合ったり解説したりしている人も。
「物価高」など生活に直結するニュースであれば、専門知識がなくても話し合えるのではないでしょうか。
また動画サイトなどに投稿されている「解説系動画」を子どもと見ている人もいました。
6位 貯金・投資を体験させる
- お年玉をもらったらすぐに貯金をする(34歳 男性)
- お年玉やお小遣いを、子どもが知っている会社の株に投資させている(42歳 男性)
- お年玉を全部渡すことはせず、子どもに話をしたうえで一定額を貯金しています(44歳 女性)
6位は「貯金・投資を体験させる」でした。
「口座を開設してATMで入金する」という作業は、ご自身も経験された親御さんが多いのではないでしょうか。
また投資体験をさせているというご家庭も複数ありました。
投資については父親からの回答が多くなっています。
7位 お金についての本を与える
- お金に関する本を読んでもらいました。わからないところは質問するように伝えて、実際に質問もありました(34歳 女性)
- お金について学べる子ども向けの本を購入し、一緒に読んでいる(45歳 女性)
7位は「お金についての本を与える」。
最近では、子どもが楽しくお金について学べる本や絵本も出版されています。
子どもと一緒に読んでみると、大人でも「勉強になるな」と思えることがあるかもしれません。
自分で教える自信がない方にとっては、とくに役立つのではないでしょうか。
まとめ
「子どもにお金の大切さを教えている」「教えたい」と考えている親御さんは多数。
積極的に教えたいとは思っていなくても、親の「節約の努力」や「仕事ぶり」などから自然に学んでほしいと考えている人は多く、金融教育の重要性を認識している人が多いとわかります。
具体的には5~6歳くらいから「親が働いているから買い物ができること」「お金でなにができるか」などを折に触れて伝え始める人が多数。
お年玉やお小遣いをあげるようになると、お小遣い帳などでお金の管理を体験させるご家庭が多くなります。
お金は生活するうえで欠かせないものであり、経済的自立とは「お金とちゃんと付き合えること」でもあります。
教え方はさまざまだとしても、子どもに対する金融教育の重要性を認識することは、どのご家庭においても大切だといえるでしょう。